ITシステムの世界では、一部の業界で、アナログ電話回線(国際電話)によるデータ通信が現役で使われています。例えばニューヨークに本社のある企業が、世界に多数ある支店・拠点から情報を収集するとき、既にある電話回線を国際電話で一時的に繋ぎデータの送受信を行う使うケースがあります。
これには、大きく2つの理由があります。
一つ目の理由は「コスト」。何十か所の拠点にそれぞれインターネット回線を引くよりも、既にある電話回線(国際電話)を使いまわす方が安いケースです。「ダイヤルアップモデム」という機械を一度購入すれば、一度きりの出費ですみますので、この方が安いケースも多々あります。
もう一つの理由は「セキュリティ」。インターネットに接続すると、世界中に公開されたネットワークを通じてデータがやりとりされます。個人情報やお金に関わる情報などの機微な情報をやりとりするには、インターネットは適していません。電話回線(国際電話)を利用した接続であれば、本社と拠点が一対一で接続されるため、間に誰かが入って盗聴されるなどのリスクが極めて低くなります。
昼間は社員が使うから自社のシステムに蓄えておいて、夜中誰も使っていない時間帯に、本社に一日分のデータを送る(バッチ処理といいます)なんて方式はいまだに普通です。