国際電話は必要電話

アメリカに1年間留学していたことがあります。60歳を過ぎていた両親を残していく不安はありましたが、2人とも健康な今のうちに!という決心でした。

渡米前の短い準備期間で、母にはPC操作、特にメールとスカイプを覚えてもらいました。「携帯も持っていかないからね、連絡手段はメールしかないからね、国際電話なんて高くて無理だからね!」とさんざん言って分かってもらった…つもりでしたが、やはりハードルが高かった様子。

私の近況報告4件に付き1件の3行メールが返ってくるという状態でした。母親のスカイプのログインアイコンなど見たこともありません。 便りがないのは良い証拠、と思っていた頃、祖父が亡くなったのです。

たった1行『おじいちゃんが今朝亡くなりました。無理して帰ってこなくていいからね』。いやいや、初孫でいちばん可愛がってもらった私が?留学をいちばん喜んでくれた祖父にお別れを言わないとは?状況はどうなってるの?

パニックになっている私に、下宿先の奥さんの神の声「うちはネットとテレビと電話がセットになっているから、国際通話も無料よ!すぐ電話してあげて!」。

まったく知らない番号からの着信なのに、家族の勘なのか、すぐに出てくれた母の、安心したような「○○(私の名)~!!」という涙声は、ちょっと忘れられそうにありません。 そのまま電話で日系の航空会社に予約をし、翌日の朝には(国際便の場合は身内の不幸などあった場合の特例なのだとか)、日本への便に乗ることができたのでした。

国際電話という手段がなければ、きっと間に合わなかったと思います。安さか、確実性か。後者が必要な場合があります。

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